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世界レベルの鑑定会と展示会の3日間が終了しました!


2017年3月17日-19日に開催した鑑定会&展示会は、たくさんのお客さまにご来場いただき、盛況のうちに終了しました。

ポスト氏による30本以上の楽器鑑定と、同氏が所有するオールド・モダン楽器の展示、鑑定に関する講演会、さらには特別なお客様を対象に音調整を実施いただき、芸術的な価値と音を創る機能的価値の両方を味わう、有意義な3日間を過ごすことができました。

豊富な経験に裏打ちされた鑑定力

ポスト氏は質の高いオールド楽器を数多く取り扱い、それらを実際に仕入・販売してきたため、非常に深く広い知識を持っています。また、ドイツミッテンヴァルトで製作を学んだメーカー出身であるため、楽器の内部構造や細かい装飾の彫り方、材料の選択など、鑑定の際にヒントとなる鍵をたくさん持っていることが強みであるといえます。

今回の鑑定会においても、その豊富な知識と経験に圧倒されました。一方で、自身の専門分野以外や、オールド楽器でも確証をもって鑑定出来ない楽器については、"わからない"と答える誠実さをお持ちで、世界から信頼を集める理由はここにあるのだと感じました。

カヴァコスや今井信子が信頼を寄せる音調整

お客さまとの会話から始まり、実際に演奏される音を聴き、どんな音を求めているのかを見極めます。

それらの要素と楽器自体の構造(アウトラインとアーチの設計、弦長や駒位置など)を総合的に加味し、その"音"を実現するための技術を的確に選択し、さらに会話と演奏を繰り返しながらゴールを目指していきます。

「大ホールで客席のすみずみまで音を届けることの出来る音が欲しい。つまり"ホームラン"を打ちたいんです。それには密度が高く力強いフォーカスされた音質と、丸く広がる柔らかさをもつサウンド、この2つのバランスがたいせつ。ポストさんはこのバランス感覚を魂柱調整で実現してくれる。」

音調整をされた演奏家・奥村智洋氏がこう仰っていました。プレーヤーとポスト氏の間に信頼関係と、良い音を共に創り上げる喜びを感じます。

「プレーヤーが満足していることが一番重要。満足しているのに技術者の勝手で駒を変えたり魂柱を変えたりすることは、私はすべきでないと思う。例えばギドン・クレメールは現在素晴らしいニコロ・アマティーを使っているね。実は彼、生涯で楽器の調整をしたことがないらしい。まあ、彼は凡人ではないので例えには不向きかも知れないがね(笑)。」

第一はプレーヤーの求める音。技術者の"こうあるべき"と考える要素は必要に応じて活用すれば良い。これが世界の著名演奏家が認める、ポスト氏の基本スタンスなのです。

オールド・イタリアン製作史

ポスト氏による講演会では、"HOW TO RECOGNIZE FINE VIOLINS?"と題し、16世紀にクレモナから始まったバイオリン製作の文化が、南ドイツ・アブサムからブレシア、ミラノ、ヴェニス、トリノ、ローマ、ナポリまで続く商業ルートに沿って、地域色豊かに発展していった歴史を、代表的な製作家とその技術の特徴を採り上げながら説明いただきました。
1550年にアンドレア・アマティが作り上げたバイオリンのアウトラインとパフリングから直ぐに立ち上がるアーチの設計は、その時点ですでにモダンのそれと大きく違わない完成されたものであったことにあらためて驚き、それをストラディバリが発展・完成させた偉大さを再確認しました。


「デル・ジェスはバイオリン製作界のパブロ・ピカソのような存在だ。例えば極端に縦に細長く、先人の美しい円を描くものではなく、ザクザクと荒く掘った力強い削りのスクロールに見られるように、彼の技術とインスピレーションは自由奔放で、他の誰とも異なる魅力を備えているんだ。」

ストラディバリの完成されたバイオリンは、現代においても尚超えることが出来ていないとし、同時期に独創的なバイオリンを製作し、大ホールで全ての客席に力強い音を届けることで世界中のソロ演奏家を虜にしてきたガルネリ・デル・ジェスについて、こう表現されていました。

「製作地それぞれに細かい技術の典型的な特徴が見て取れる。例えばミラノ派のG.グランチーノは先ずスクロールに目がいくよね。根元が太く、上に向かって急に細くなる形状はグランチーノではないかと直ぐ予測できるし、f字孔の刻みはクレモナのそれに比べ非常にシャープな点も彼の特徴のひとつだ。ニスは固く薄く塗られた黄色であることが多いし...」

この他にブレシア、ベニス、マントヴァ、ボローニャ、トリノ、ローマ、ナポリにおける各地の製作技巧の特徴を細かく紹介いただき、約1時間半に渡り講義をいただきました。

名器コレクション


ポスト氏が所有する楽器の展示会も同時開催。1700年代のオールド・イタリアンからオールド・フレンチ、貴重なオールド・ダッチを含む名器たちを、直接手に取って、弾いて、その素晴らしさを実感することができました。

Violin by Giovanni Grantino, Milano, ca1700
Violin by Nicola Lupo, Orlean, 1790
Violin by Johannes Cuypers, Hague, ca1764
Violin by P.A.dalla Costa, Treviso, ca1750*
Violin by Celeste Farotti, Milan, 1903*
 *引き続き展示・販売中

2013年から開催しておりますA.ポスト氏の楽器鑑定会&展示会。今回で第6回を迎えることができましたこと、大変嬉しく思います。アムステルダムから来日いただき、惜しみなく知識と技術をお教えいただいたポスト氏へ、そして何よりご来場いただいた全てのお客さまへ、この場を借りてお礼を申し上げます。

次回の開催については未定ですが、決定次第、ホームページを通じてお知らせいたします。