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世界が認めるエキスパート、A.ポスト氏を招いて2018年5月3日-5日に開催した鑑定会&展示会。プレッセンダをはじめとするモダン・バイオリンの展示会や特別なお客様を対象に実施した音調整会、国内のプロ奏者やディーラー、職人の方々もご参加いただいた講演会など、多様なイベントをご用意し、多くのお客様よりご満足の声を戴きました。

■ 鑑定

全国より30本を超える楽器・弓の鑑定依頼を戴きました。 ひとつひとつ丁寧に鑑識を進めるポスト氏。オールドイタリアンはもちろんのこと、ドイツ、オランダ、スペインなどヨーロッパのさまざまな地域の作品に精通した広い知識と経験に改めて感心させられました。写真はオールド・バイオリンの内部をライトで照らし、その状態と構造を確認するポスト氏。

■ 音調整

世界のトップ奏者が信頼するポスト氏の調整技術を体験いただく機会を設けました。それぞれの楽器個体ごとに適切な駒と魂柱の位置を即座に理解し、奏者のイメージと擦り合わせながら、最善の音を創っていくポスト氏。硬い⇄柔らかいという2つの方向性を試しながら、確実に楽器のポテンシャルを引き出していきます。

「もちろん私も理想の音質を持っています。ただ、一番大事なのは奏者の理想に近づけること。硬くフォーカスさせるのか、もしくは柔らかくブロードにするのか、2つの方向性のバランスが大事だと思います。」

■ 講演会 

昨年に講義いただいた17世紀から18世紀にかけて発展した地域色豊かなイタリアのバイオリン文化。今回はその続きとして、19世紀から20世紀における各都市のバイオリン製作について、特色あるメーカーの楽器の紹介とともにお話をいただきました。

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18世紀後半にイタリア経済が低迷するも、クレモナの技術はストリオーニやチェルティ・ファミリー、ミラノのアントニアッツィ・ファミリーやビジャッキ工房によって、少しずつ形を変えながらも確かに継承されていきます。


「18世紀後半から19世紀前半に活躍したクレモナのストリオーニが用いたオッピオ材など、国内の材料は非常に"シンプル"な素材であることがわかります。これは同時期の経済低迷により教会、富裕層からの注文が減少し、素材がシンプルにならざるを得なかったといえます。ストラディバリなどが用いたボスニア材などの輸入素材は非常に高価で入手できなかったのでしょう。」


「19世紀に活躍したチェルティ・ファミリーは、ストリオー二より製作を学んだと言われており、ジョバンニ・バティスタ、ジュゼッペ、エンリコと3代に渡りクレモナの伝統を次世代へ継承する重要な役割を担います。ストリオー二より細工が美しく、f字孔がハの字である点やC部が細い点がチェルティ・ファミリーの特徴です。3代目のエンリコではその細いC部の特徴がさらに強調されます。」


「20世紀のバイオリン製作で重要なアントニアッツィ・ファミリー。最初はガエタノがクレモナのチェルティの下で製作を学び、比較的早い時期、1870年頃に息子たちを連れてクレモナからミラノへ移ります。ミラノ派のイメージが強いアントニアッツィも、クレモナの伝統を基礎としていることは非常に重要です。スクロールの形状が細くその掘りが非常に深い点が特徴。チェルティのC部が細いアウトラインも受け継いでいますね。」

イタリア低迷の時代も、トリノはフランスの統治下として経済が高い水準で保たれため、バイオリン製作のレベルも高いまま、フレンチ・メーカーの影響を受けながら発展を続けます。その代表的な作家のひとりがプレッセンダです。


「ストラディバリ・スクールと自称していたプレッセンダは、ストリオーニやガダニーニらより製作を学んだのではと考えられていましたが、実はレテやカロなどのフレンチ・メーカーから技術を習得したことが20年ほど前に判明します。フラット・アーチのデスピンに比べ、プレッセンダの楽器はもう少し豊かなアーチ。独自のストラディバリモデルをつくりあげました。リュポなどのストラドモデルからも影響を受けただろうと考えられます。」


「弟子であるジュゼッペ・ロッカや、イタリアとフランスを行き来していたピエール・パシェレルなど、プレッセンダの影響を受け優れた楽器を市場に供給したメーカーが次世代に続きます。当時、トリノやジェノア、パリ、ニースの間で人と物の交流が盛んであり、その間で経済と文化が発展した時代背景があったことは興味深いですね。」

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このように、17-18世紀のクレモナ伝統が、ミラノやトリノなどの各主要都市において、幾人かの優れた職人たちによって次世代に継承されていることがわかります。各地域で独自性が見受けられるものの、その根幹には、アマティやストラディバリらが築いたクレモナの芸術が存在していることをあらためて知ることができました。

■ 展示会

ポスト氏所有の楽器を含め、数多くのモダン・バイオリンを展示いたしました。注目を集めたのは、次世代のストラディバリと称されるモダンの巨匠、G.F.プレッセンダ。使用頻度が少ないまま保管されていため、非常に良い状態を保っている質の高い1本です。

そのプレッセンダやガダニーニ・ファミリーより大きな影響を受け、独自に製作を行ったとされているG.ガッティのバイオリンも、深赤色のニスと一枚板の楓材が美しく、音色は強いながらも甘く柔らかい上品さを併せ持つ、プロ奏者からも高い評価を得ています。

Violin PRESSENDA, Giovanni.Francesco Torino
Violin GATTI, Giorgio Torino
Violin GAGGINI, Pierre Nice
Violin SOFFRITTI, Ettore Ferrara
Violin ODOARDI, Giuseppe Ascoli Piceno
Violin BISIACH Leandro Milano

 
and more...
*引き続き展示・販売中
オランダ・アムステルダムから来日いただき、知識と技術を共有する素晴らしい時間を提供いただいたポスト氏と、ご来場いただいた全てのお客さまへ、あらためて御礼申し上げます。

次回の開催についてはホームページを通じてお知らせいたします。お楽しみに。